2009/11/29

航海 ‐番外編‐

今回の航海は途中で船員さんの入れ替えがあったので一度港に帰ったのですが,その時のこと.




ベッドで仮眠をとっていると船が停止.


もう着いたんかいな?とか思いながら外に出てみると,陸地は遥かかなたにしか見えず,その代わりおしゃれなヨットがすぐ近くに停まっているのが見えた.






なんじゃこりゃとか思っていると,うちの船からタグボートが出動.








さらに頭の中が???で一杯になったので,船員さんに聞いてみると,





ヨットのエンジンが壊れて立ち往生してるから,これから牽引するんだとか.

しかも,ヨットのエンジンは2日前に壊れて,うちの船を待っていたんだとか.





ありえねー.

日本じゃまずありえない.




2日間でうちの船以外その場所を通らなかったことにも驚きだけれど,危機的状況にあるわけではないにしろ2日も待たなきゃならないとか,民間の船が助けなきゃいけないとか信じられない.





というのも,BermudaにはPILOT & RESCUEという組織はあるものの,RESCUEの文字はほぼお飾りでPILOTしかやっていないため.

※PILOTとは…飛行機が空港に着陸するときに管制塔から色々指示をもらうように,船の場合はPILOTの人達と洋上で落ち合って,その人達を船の操舵室に招き入れて指示を仰ぐというもの.普通は元船長とかで凄腕の人の場合が多いため有益な指示をもらえるが,Bermudaの場合はそんな人は少なくお茶飲んでお菓子食べてるだけの人が多い.


つまり,日本で言う海上保安庁みたいに遭難している船を助けてくれる組織はないということです.


以前は米軍が駐留しており,米軍が助けていたそうですが,今では誰も積極的には助けてくれません.


おそろしや.





とりあえず,件のヨットはPILOT & RESCUEの船とおちあうまで牽引してあげて,PILOTのために来たPILOT & RESCUEの船に引き渡しました(でかい船で牽引しながら狭いところを通るのは危険なため).




これがPILOT & RESCUEの船.









日本じゃまずお目にかかれない状況にでくわし,面白い思い出が出来ました.









あと,前回書き忘れたのですが,思い出を作ろうということで,調査の際に少しお遊びを.



そこで使ったのが発泡スチロール.


発泡スチロールにみんなでコメントを書き込んで,調査機材と一緒に水深3000mまで沈めます.


海水中では,水深が10m増すごとに気圧が1あがるので,水深3000mでは約301気圧.

地上では1気圧なので,水深3000mでは全てのものに地上と比べて301倍の圧力がかかります.


ドラゴンボールで悟空がナメック星に向かう時に使っていたものでもたかだか20倍だったことを考えれば,とんでもない圧力.



そんなところに発泡スチロールを放り込んだらどうなるかというと...









上がBefore,下がAfter.



とんでもなく小さくなりました.

そんでもって,発泡スチロールのくせにめちゃくちゃ重い.


そら全体の重さがそのままで,大きさが小さくなったら,密度はあがりますからね.


もはや水に浮くことはありません.










どちらも非常にいい思い出になりました.




では.

2009/11/27

航海

先週の土曜日から今週の火曜日まで航海に行ってきました.





今回の航海は,今日まで3週間続いたMoored Observatoriesの授業の一環.




この授業で習うのは,海の中に機材を放り込んで,その機材に一定期間(1年とか)データを取りためといてもらうという海洋観測の1手法.

簡単なところでいえば,記憶装置付きの水温計を海のある深さにつるしておくとか.




この授業では,どういう素材(鉄なのかステンレスなのかとか)を使うか,どうやって海に放り込むのか,どういう構造にすると流れ等のストレスに強いかという方法論が中心でした.

こういうノウハウみたいなのは,なかなか勉強するのが難しいので非常に助かります.


それに私は車とかいじるの大好きなので,グリースの使い分けの話や,はじめて使うインチ単位の工具(日本では外車とか除けば基本的にセンチ単位)にうきうきしてみたり,工具の呼び方が日本と全然違う!と驚いてみたり,1人で盛り上がっていました.

他の人は,だからどうしたみたいな顔していましたが...





それにしても,この授業での話はとにかくスケールがでかい.


今回の航海で放り込んだ機材にしても,水深4000mくらいのところに放り込むわけだから,重りとなるアンカーも2tあるし,機材をくくりつけるワイヤーも3500mとか.


はっきり言ってめちゃくちゃお金かかっています.







授業の中では,海中の機器や小型無人潜水艦みたいなの(Glider)を通信ネットワークで繋いで,海の中に無人の一大研究拠点を作ることも近い将来可能だという話がでたり.


SFの匂いがしまくりです.






Bermudaに来て思うことの一つは,海洋学の人達はスケールがでかいなぁということです.


私が日本でやってた研究なんて,車で川まで行って,ちゃちゃっと水汲んだり,川虫取ったりするくらいなもんで.


まぁ,スケールがでかけりゃいいってもんでもないけど.








そういえば,今回の航海にはしっかりと釣り道具を持っていったのですが,シイラ(♀)を釣りあげました.





釣ったあとはもちろん,刺身とカルパッチョにして美味しく頂きました.












あと,今回の航海に参加するためにカナダから来ているかなり優秀な博士課程の院生と研究の話やら,将来の話やら出来たのも良かったです.

日本に中にいる間は海外とコネを作るそうそう容易ではなかったのに対して,今はBIOSにいるだけで世界各国の優秀な研究者がどんどん向こうからやってきてくれるなんていう,非常に恵まれた環境に身を置いているのだなということをつくづく実感します.

コネを有効に使えるように,研究者としての腕を磨いていかねば.



前回の航海と同様,頑張って働いていたらまたもやクルーから就職のお誘いがありましたが,とりあえずは研究の腕を磨いていく方向で.






そういえば,航海中に日本ではまず体験することのないことがあったので,番外編として書こうと思います.



では.

2009/11/19

カイミジンコの新種

琵琶湖湖底からカイミジンコの新種が4種発見されたそうで.


http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091119-OYT1T00712.htm



琵琶湖博物館のロビン・ジェームス・スミスさんらが発見したのだけれど,私は今年の5月から6月まで琵琶湖博物館に出入りしていて,スミスさんにカイミジンコのことを教えてもらったりもしました.

知っている人が面白い研究結果を出して,ニュースになったりすると嬉しいものです.



欧州や中東で化石でしか見つかっていない種も見つかったようで,これから古環境の研究や進化研究などに進めていけそうで面白そうです.









ところで日本では事業仕分けが進んでいるようで.



無駄な事業を削るということ自体は非常にいいことですが,何が無駄で何が必要かを分けるのはかなり大変なものです.


分ける尺度としては様々あるとは思いますが,費用対効果のような尺度は,即座にお金に化けるわけではない科学や教育にはあまり向かないのではと思ってしまいます.



その尺度を元にした仕分けの結果,研究向けの資金や,若手研究者育成のための資金などが大幅に削減されるようです.





今回のように短期的な費用対効果ばかりを追及するのであれば,上記したような新種の発見なども,どれだけの金銭価値があるのかということになり,今後はこれらの研究をすることは非常に困難になる可能性があります(現在でもこれらの分野は研究費を得るのが難しいですが).


今日付けのNature(世界最高峰の科学雑誌の1つ)にも大きな記事が出ていましたが,このままでは日本の研究者は基礎研究にお金を使ってくれるアメリカなどに出ていくしかなくなるのではと思ってしまいます.







Bermudaに来てから,日本ブランドというものを非常に痛感します.


極東のちっぽけな島国に過ぎない日本の科学技術や商品は,海外ですごく評価されていて,それらは外国人に有名な京都でも足元に及ばないくらい有名です.


地球の裏側のBermudaでも,日本製の車やカメラがよく売れており,授業の中でも日本での研究がよく紹介されます.





今現在の金融危機も当然大事ですが,国という大きなものを動かす以上,これから先10年,20年後に資源もない日本が何で食っていくのかというビジョンをはっきりと示し,舵をきっていただきたいと思います.

田舎のおっかさん

昨日,アメリカから来てる女の子がクッキーを作るというので,出来上がった頃におよばれに行ってきました.


クッキーとかいうから,普通の想像していたのだけど,出てきたのは...




















もう,そのまんまカントリーマアム.


あの私が大好きなカントリーマアム.


味も一緒.





いやーびっくりした.

クッキーと聞いて,カントリーマアム思い浮かべる日本人はかなり少ないでしょ.




あまりにもびっくりしたので,



「カントリーマアムってクッキーの中でもメジャーなの?」



って聞いたら,その子は目が点に.



そらそうだ,カントリーマアムは商品名だもんね.

意味なんて,「田舎のおっかさん」だし.



それにその子は,私が初めて見た時に16歳くらいかと思った程の童顔で,「田舎のおっかさん」のイメージとは程遠いから.




そんなこんなで,みんなで笑いながら,本場のカントリーマアムを楽しみました.


5カ国位にカントリーマアムの名前を広めといたんだけど,不二家さんBermudaにカントリーマアム送ってくれんかな.

2009/11/17

Rugby & Sushi

先週末は,なかなか忙しくも楽しい週末でした.



土曜日は,World Rugby Classicに.


私は決勝戦のNew Zealand(All Blacks)とEnglandの試合を見てきました.



どちらも,世界の強豪.



何が残念って,私はラグビーを見るのは初めてで,ルールは前に手でパスしちゃいけないってことを知っているだけだったこと.



それでも,All Blacksのハカ(マオリ族の踊り)が見えたり,華麗なパスや,All Blacksのしぶとい守備を見ることが出来て,かなり楽しめました.



試合は24-0でAll Blacksの圧勝に終わりました.





試合後のパーティーではハカを間近で見れたり,地元バンドの演奏を聴いたりと,これまた楽しむことが出来ました.








あと,奥さんが福岡出身の日本人だって人にも出会えて,今度一緒に御飯でもしようって言ってくれたのも嬉しいことでした.


久々に生で日本語が話せると思うと嬉しいものです.








翌日の日曜日は,近々友達がBermudaを去るので寿司パーティーをすることに.


実はこのパーティーのために1週間程前から準備していたのですが,なかなかうまくいかない.




なにが上手くいかないって,お米やいい魚が全然手に入らない.



お米は知り合いに聞きまくってなんとか確保.




魚は大きいスーパーに電話すると,


「新鮮な魚あります?」


「あるよ~」


「いつ獲ったやつです?」


「40時間前かな.まだまだいけるよ~」



こっちのスーパーで良く見る,表面がカピカピに乾いている魚が瞬時に想像できたので,即座に却下.





どうしようもないので,指導教官のRobにお世話になることに.



Robに聞くと,Bermudaでは漁師さんが道端で前夜に獲れた魚を売ってるとのこと.



そこでようやく,40cmくらいのRed Snapper Lutjanus campechanus(フエダイ科)を3尾と,50cmくらいのBlue Runner Caranx crysos(アジ科)を1尾手に入れることに成功.


旨そうなハタ科(クエとかの仲間)の魚もいたのですが,漁師さんが鉈みたいなのでぐちゃぐちゃと切っていて,断面がひどいことになっていたので却下.




Red Snapper.





Blue Runner.








寿司は当然握れないので,パーティーだしということで手巻きパーティーに.



あと,刺身だけじゃ味気ないので,Blue Runnerの漬け,Red SnapperとBlue Runnerの幽庵焼き,Blue Runnerのカブト焼き,各種魚のアラを使った潮汁を作りました.




カブト焼き





幽庵焼き.





刺身は綺麗に盛り付けたのに,写真撮るのを忘れてしまいました.







みんなにどの料理も気に入ってもらえたので,良かったです.











本当は今日から航海に出る予定だったのですが,嵐が来ているため金曜日に延期です.




では.