一応勉強しに来ているので.
興味がない方は素っ飛ばして下さい.
調査船なので,当然船には多くの研究設備も備わっています.
1日動かすのに200万円もの大金を費やす船なので,効率的に仕事ができるようバクテリア屋さんとか,植物プランクトン屋さん,物理屋さん,化学屋さんなど様々な人が同時に仕事を行っていきます.
そのため,普段私がやっていることに比較的近い話から,日本語で聞いてもよくわからんだろう話まで,色々聞けて楽しい時間を過ごせました.
それでは研究設備の紹介.
CTDと採水器(いわゆるロゼッタ).
このCTDは,水深,水温,塩分,蛍光度,溶存酸素を測っていて,今回の航海では水深2,600mまで下ろしていました.
これまでには,プエルトリコで6,000mくらい下ろしたこともあるそう.
上げ下ろしは1分間に50mが最速なので,片道だけで1時間,色々込みこみで一回のサンプリングで3~4時間くらいかかります.
普段の研究なんて,川の水採水するのに5分もかからないので雲泥の差.
採水器はワイヤーの中に通っているケーブルを通して,電気信号で船上から好きなところで好きな採水器に採水させることができます.
まさにハイテクです.
データをしっかりとるために,採水した水を精密な機械で水温,塩分,蛍光度,溶存酸素をはかってCTDのキャリブレーションを毎回するみたいです.
正直めんどくさそう.
私の性格的に,海洋物理学とかの方に進まんで良かったな.
セディメントトラップ.
表層の方から底層の方に降ってくる砂やらなんやらを採るやつ.
これは海に放り込むのはかなりたいへん.
ワイヤーは300mくらいあるし,ブイは3人でやっと持ち上がるくらいの重さ.
かなりの重労働です.
これも下ろすのに40分くらいはかかります.
NBST (Neutral Boyance Sediment Trap)
これまたセディメントトラップの一種です.
違うところは,さっきのは下に重り,上には浮きでその間のワイヤーにトラップをつけるのに対して.NBSTはこの魚雷みたいなのが設定された水深を(何時から何時までは水深Am,次はBmとか細かく設定可能),中性浮力を使って勝手に保ってくれるという優れもの.
しかも,こんな細長いのに水中で常に縦になっててくれるんだとか.
回収する時は,その時間に水深0mに来るように設定しておきます.
ものとしては,海洋観測で使われるARGO(恥ずかしながら私はバミューダに来てから知った)にトラップをつけられるように工夫したもの.
すごいハイテクなんです.
小さいから,海に放り込むのもそんなに大変じゃないし.
ただ小さすぎるのが命取り.
回収の際には水面に浮きあがって,大体の場所を電波やらで発信するのですが,いかんせん大雑把すぎる.
レーダーじゃ正確な場所はわからないので,大体の場所まで来たら双眼鏡で探します.
マシンのハイテクさとは対照的に,ものすごいローテクです.
それにしても,大海原の中で水面より上には30cmくらいしか出ていないものを探すなんて,どだい無理な話です.
最初はテンションも高く,張り切っているのですが,15分もすると大変さが身にしみてきて嫌になってきます.
「ウォーリーを探せ」がこの難易度だったら,確実に売れていなかったでしょう.
結局1時間くらいうろちょろしていたら,船員さんのファインプレーで見事発見,回収にいたりました.
名前忘れちゃったけど,光の強さを測るやつ.
紫外線領域から赤外線領域まで,設定した12の波長の強さを測ってくれます.
表面と比べて,水深Xmではどれだけ光が減衰しているかとか測ってました.
これまたハイテク機器で,舞鶴のあの人とかすごい欲しがりそうだなとか思いながら見てました.
ただ機械がいくらハイテクだろうと,作業は地味です.
せーの,で海に放り込んで,適当に沈むのを待って,ケーブルをひたすらひっぱるという単純作業.
みんなで「マグロがつれた」とかなんとか言いながらワイワイやっていましたが,水の抵抗でかなり重たいため体は悲鳴をあげていました.
綱引きが強くなることは請け合いです.
実験室.
見慣れた濾過機をさっそく発見し,
「日本であれだけ濾過したのに,バミューダでもまた濾過かよ」
と,ややげんなり.
あとは,蛍光度計だとか.
放射性同位体Δ14Cをプランクトンの増殖速度の研究に用いているため,放射線専用の部屋もあります.
実験室の中以外は,ワクワクする機器がいっぱいで,すごい楽しい航海でした.
仕事面でも船員さん達にやたら気に入られ,「俺たちと一緒に海で働こうぜ」とスカウトされたりもしましたが,ひとまずは丁重にお断りしておきました.
天職のような気もしますが.
研究機器の詳しいことは,帰国後にでも.
航海日記はこれにて終了です.
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