2009/09/28

マングローブの海

昨日は研究対象になるかもしれない生物の下見に.



その生物とはサカサクラゲです.




クラゲというと,水中をふわふわ浮いているやつを思い浮かべる方が多いかと思いますが,こいつはそこに沈んでいます.


しかも名前の通り,裏表逆で.




サカサクラゲと聞いて,少々スケベなことを思い浮かべた方は,少々お年をめされていると想像いたします.





このサカサクラゲは,刺胞動物門 鉢虫網 根口クラゲ目 サカサクラゲ科 サカサクラゲ属(Cassiopea)に属するクラゲさん.




属名のCassiopeaは,星座のカシオペア座が北極星の周りを後ろ向きに周ることからついたそうな.




この仲間の変わっているところは,クラゲのくせにイソギンチャク(クラゲと同じ刺胞動物門)のように反対向きでマングローブのそばの砂地に着底していることと,藻類と共生していること.






この藻類とは褐虫藻 zooxanthellaで,サンゴ(これまたクラゲと同じ刺胞動物門)と共生しているものの仲間.



褐虫藻が光合成で作りだしたものをサンゴがいただいているように,サカサクラゲも褐虫藻から光合成産物を頂戴しています.




サカサクラゲはオワンの下側(普通のクラゲにおける)の部分に褐虫藻を飼っているので,裏向きにならないと褐虫藻に光が当たらないというわけです.





イメージとしては,寝っ転がって日向ぼっこしてたら,ご飯がもらえるという感じ.






文章ばっかりでもわかりにくいので,サカサクラゲ達.

























ぱっと見た感じは,変なイソギンチャクか,もしくは変なゴミ.




色が異なるのは,褐虫藻の活性の高さだとか.



褐虫藻は名前のとおり褐色をしているので,日当たり良好なサカサクラゲは褐虫藻が元気なため茶色っぽい色をしていて,日陰者はなまっちろいといった塩梅.



日当たりと色の関係が,人の日焼けみたいです.





日本にも鹿児島より南には15cmくらいまでになるサカサクラゲの仲間がいるようですが(海遊館等の水族館にもいます),Bermudaのサカサクラゲはかなり大きく,大きいものでは50~60cmくらいあるものもいました.










サカサクラゲはマングローブにいるため,下見の最中にマングローブの代表的肉食魚 Great Barracuda Sphyraena barracuda(カマスの化け物みたいなので2m近くになる)の子供を見かけました.







成魚はでかいし,やたらと近づいてきて,たまに鋭いキバだらけの口を開けてくるので,あまりお近づきになりたくありませんが,子供のうちは可愛らしく良い感じ.



一緒に写っているのはマングローブの根っこ.







マングローブ林ではこんな感じで根っこがぶらぶらしていて,いかにも魚の隠れ家に最適という感じ.











マングローブから2mも離れるとそこは海草の草原(?).






海草は昆布などの海藻と違って,その名の通り海の中にはえてる草です.






ここには普段行くサンゴの海では見ない魚が沢山.










下の方に写ってるちっちゃいのは,たぶんテンジクダイ科(持っている図鑑がサンゴの海用しかなく載っていない).
















これはよく分からないが,穴ぼことハゼ科のなにか(かなり分かりにくいが,穴のちょっと右にいて右下に頭を向けている).






一瞬,穴からテッポウエビらしきのが砂を持って出てくるのが見えたため,共生しているのかも(テッポウエビとハゼの共生は興味があれば検索してみて下さい).




舞鶴の誰かさんが聞いたら大喜びしそうな話だけれど,シャコに見えないこともなかったし,たまたまハゼがそこにいただけかもしれないため今のところは保留.










写真を撮り忘れたが,2つ穴の開いたトンネル状のものも多くあったため,アマダイとかアゴアマダイとかそういう類のがいるのかも(アゴアマダイのトンネルは穴1つだったかも).




トンネルの方は突っついてみたものの,何も発見できなかったのでこれまた保留.












課題の沢山残る下見となりましたが,初めてのマングローブ林スノーケリングはかなり面白いものとなりました.








今度は魚の名前だとか穴ぼこの正体だとか明らかにしたいですね.




テンジクダイとかハゼの水中での同定は,かなり厳しいものになりそうですが...







では.

2009/09/27

Nonsuch Island

一昨日の金曜日は,授業の代わりにNonsuch Islandって島に連れてってもらえることに.




Nonsuch Islandは自然保護区になっていて,一般には上陸できませんが今回はお勉強ということで上陸.




船で40分くらい走って到着です.





島までの途中には,こんな家住みたいなぁというような,海まで2秒みたいな家とかあります.








ハリケーンの時は怖くてやってられなさそうですが...











他には大きな穴のあいた岩壁も.






バミューダの地質はほとんどがサンゴなどが元になった石灰岩(鍾乳洞とかと同じ)で,火山性の岩に比べると波などで簡単に削れてしまいます.









変わったところでは一度隆起だかして地層が変形したやつの上に,また堆積したようなのもありました.






地学には疎いので正確な言葉かは知りませんが...





下半分は層が斜めに走っているのに対して,上の方は水平方向.












と,船の上からの風景を楽しんだようなことを言っていますが,前日イギリス人の誕生日会に誘われて3時まで飲んでいたため,実際は二日酔いでほとんどねていました.












そうこうしていると島に到着.








船は浜から200mくらい沖に停泊して,そこからは各自泳いで島まで渡ります.




舞鶴の島陰実習みたい.










島に渡るとJP(BIOSの研究者)が先導しながら説明してくれます.











それによると,Bermudaには400年くらい前にヨーロッパ人が入植したんだけれど,その影響で生態系は大きく変わったそうな.









その結果,絶滅してしまった鳥で有名なドードーのように,動くのがとろいバミューダにしかいない鳥(Kahaoo)がまったくいなくなってしまったんだとか.






それで,これはいかんってことでバミューダにある100以上の島を研究者が探しまわったら,このNonsuch Islandに少し生き残ってたんだとか.






そういうことで,この島は保護区にしましょう,植生も元々のものにしてやれば個体群が回復するのでは,という運びになったそう.






今では,昔のバミューダの植生になったことで色んな生物が豊富になったとか.






で,どんな植生かというと,こんなジャングルみたいなところ.












基本的に自然のままなので倒木も.











これはHarricane spider.






バミューダのハリケーンに適応するように,低いところに巣を張るそうな.





中にはえらい高いところに巣をはるおバカさんもいましたが.










これまたバミューダのクモ(名前は失念).







なんかのキャラクターで出てきそう.



ちなみに,頭は下向きです.










名前はわからないけどキノコ.












これはLong tailっていうこれまた数を減らしている海鳥用の人工巣穴.










Long tailの繁殖地は50~100mくらいの断崖絶壁.








下には見るからにでかそうなアジ系の魚の群れ.



竿もないので指をくわえて見ているしかありません.








とりあえずみんなで記念撮影.






崖のすぐ横で跳ねる女の子達.








島には沈船も.


100年くらい前に沈んだんだとか.





潜ってみると,Gray Snapper Lutjanus griseus (フエダイの仲間,以下名前の後の斜字は学名)が大量に.

沈船の中へ入っていく魚たち.

そんな感じで最初の浜に戻って,みんなでシュノーケリング.

岩礁帯ではサンゴ,サンゴ,サンゴ,魚,魚,魚です.
まずは各種サンゴ.

お次は魚.
Rainbow Parrotfish Scarus guacamaia のオス.


1mくらいとでかいです.




Parrotfish(ブダイの仲間)のほとんどは,はじめメスで大きくなるにつれてオスに性転換し,それと対応するように色も変わっていきます.

右下の頭が青いやつとParrotfishにくっついているのはBluehead Thalassoma bifasciatumでベラの仲間.

ベラの仲間もブダイと同じく性転換し,青いのがオス,黒っぽいのがメスです.




これまたRainbow Parrotfish.



近寄ってきた個体にたいして威嚇しています.

Parrot(オウム)の名前の通り凄い歯をしています.





ただ,この歯は魚に噛みつくためではなく,サンゴなど固いものをバリバリ噛み砕くためにあります.




バミューダの砂浜の砂の多くはParrotfishが噛み砕いたサンゴでまかなわれているとか.












これは別のParrotfish,Stoplight Parrotfhish Sparisoma virideのオス.








砂浜に横たわりながらサンゴを食べていました.













これはStoplight Parrotfhishのメス.








上のと比べて色の違いがわかるかと.










このStoplight Parrotfhishは怪我をしたのか背鰭の一部が損傷していました.










Queen Parrotfish Scarus vetulaのメス.







オスはStoplight Parrotfishのような鮮やかな青色です.











Blue Parrotfish Scarus coecoeruleusの群れ.











Spanish Hogfish Bodianus rufus(ベラの仲間).






水族館でしか見たことがなかったので,少し感激.












Bermuda Bream(タイの仲間).








Bermudaではどこに行っても見ます.







Blue Tang Acanthurus coeruleus(ニザダイの仲間).




この仲間は英語ではSurgeonfishと言いますが,由来は尾鰭の付け根にするどい棘(この魚では黄色いところ)があって,外科医(Surgeon)が手術で使うメスのようによく切れるからとか.






Smooth Trunkfish Lactophrys riqueter(ハコフグの仲間).





ハコフグって何っていう人は,さかなクンがいつもかぶっている妙ちきりんな帽子を思い出して下さい.


さかなクンに言わせると,あれはミナミハコフグらしい.



ギョギョ~~です.



さかなクンもそうですが,この魚もとても変わっていて,鎧のようなものをまとっています.




たまたま砂浜にハコフグ(同種のものかは不明)の外骨格が転がっていたのですが,いかにも固そう.







敵から身を守る鎧も人間にはかないません.


九州とかでは,まるのまま火にくべるところがあるそうな.


鎧があるおかげで,アルミホイルに包まなくても,鎧包み焼きという感じで美味しく焼けるんだとか.


味噌をちょいと入れると,美味しいみたいです.




Palometa Trachinotus goodei(アジの仲間).




Gafftopsail PampanoとかLongfin Pampanoなどとも言われるそう.

日本にいるマルコバンとかと似ています.

他の魚は岸際の岩礁帯にあるサンゴの周りにいるのに対して,この魚は珍しく砂のところにいる種類です.




最後はヒトHomo sapiens













とにかく楽しい1日でした.

2009/09/21

Marine Science Day

ずいぶん前になりますが...




先週の土曜日はMarine Science Day (MSD)でした.




MSDは学祭みたいな感じで,研究者がそれぞれブースを持って研究を一般の人に紹介して楽しんでもらうというBIOSの最大行事です.



そのため,先週は月曜日からみんな大忙し.




芝を整えたり,木の枝を切って綺麗にしたり.




ヤシの仲間の枝(といっても1人じゃ持てないくらい重い)が落ちていたので,どんなもんかとのぞいてみるとびっくり.











くるっと丸まってるだけで,中がない!

















こんなの初めて見ました.




世の中には面白いものがあるものです.








そんなこんなで,MSD当日は朝9時から準備.





私は飲み物売り場担当です.




祭りとかでよくあるあれです.







なんとか英語も通じて一安心.




面白かったのは,みんな砂糖の含量とかすごい気にすること.





日本だと何がどれだけ含まれてるかをすごく気にする人はあまりいない印象ですが,こっちの人はすごく気にしていました.





ご飯食べる時には,ケチャップとかソースとかこれでもかってくらいかけてるのに,こういう時にはやたら神経質.






よくわかりません.




仕事の合間に,ちょこちょこ他のところをのぞきに.




プランクトンネットのクルーズがありました.



プランクトンネットとはすごい細かい網目(50μmとか,1μmは1000分の1mm)のネットで水を濾過して,プランクトンを採集するものです.









船を出して,係員が海の生物の説明をしながら,プランクトンネットを曳網して,クルーズが終わったらプランクトン研究室に行ってみんなで顕微鏡で見るというもの.








かなり盛況でした.







あとはAtlantic Explorer (BIOSの航海用のでかい船)の見学とかも.












これも盛況で,やはり皆さん操舵室がお好み.




船長の椅子に座ったりとかして楽しんでいました.








他にはCO2関連も人気です.



やはり温暖化には皆さん興味があるようです.






海洋化学研究室ではスクーターの排気ガスを海水に通すと,酸性化しますよというのをやっていました.


















これはCO2でも同じです.


そんで酸性になると,サンゴとか殻を持ってるのは溶けちゃって生きていけなくなりますよっってことを話していました.





やはりスクーターとか大きな動きがあったりすると,人を惹きつけます.








他には人形劇だとか,ボディーペインティング,海の生き物を工作で作ったり.








どれも子供に大人気でした.







MSD閉幕直前の3時半にはクジが始まります.



1口5$で,商品は電気スクーター(昨年までは車だったとか!!)とかかなり豪華です.








残念ながら私は外れでしたが...








そんなこんなでMSDも終わり.





夜には打ち上げも兼ねたパ-ティーです.






ご飯もおいしく,なんとバーテンダーまで呼んで,食べ放題,飲み放題です.











最後は当然のようにダンスパーティー.





みんなで踊りまくります.













マイケル・ジャクソンがかかった時は,大盛り上がりでマイケルの偉大さをあらためて思い知りました.







そして,黒人系の人達のダンスのうまさも.




Smooth Criminalがかかった時は自然と花道が出来て,黒人系の人達が1人ずつムーンウォークやらやりまくり.





アドリブで踊っていたのですが,かっこよすぎます.







他の人達も踊り達者で,引き出しの少ない私は羨ましく思ったり,練習しないかんなぁと思ったり,






特に女性をリードしながら踊らないといけないサルサとかは,女性をリードしながら踊る踊りがほとんどない日本人にはちょっと難しいかも.







安来節とか盆踊りとか基本ソロですし.






そんなこんなで,MSDの夜もいつもの飲み会とあまり変わらず,楽しく過ぎて行きました.


外国,特に中南米に行かれる方はダンスの練習を強くお勧めします!



踊れるだけで(下手でも),夜を何倍も楽しむことができますよ.




では.