2009/11/19

カイミジンコの新種

琵琶湖湖底からカイミジンコの新種が4種発見されたそうで.


http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091119-OYT1T00712.htm



琵琶湖博物館のロビン・ジェームス・スミスさんらが発見したのだけれど,私は今年の5月から6月まで琵琶湖博物館に出入りしていて,スミスさんにカイミジンコのことを教えてもらったりもしました.

知っている人が面白い研究結果を出して,ニュースになったりすると嬉しいものです.



欧州や中東で化石でしか見つかっていない種も見つかったようで,これから古環境の研究や進化研究などに進めていけそうで面白そうです.









ところで日本では事業仕分けが進んでいるようで.



無駄な事業を削るということ自体は非常にいいことですが,何が無駄で何が必要かを分けるのはかなり大変なものです.


分ける尺度としては様々あるとは思いますが,費用対効果のような尺度は,即座にお金に化けるわけではない科学や教育にはあまり向かないのではと思ってしまいます.



その尺度を元にした仕分けの結果,研究向けの資金や,若手研究者育成のための資金などが大幅に削減されるようです.





今回のように短期的な費用対効果ばかりを追及するのであれば,上記したような新種の発見なども,どれだけの金銭価値があるのかということになり,今後はこれらの研究をすることは非常に困難になる可能性があります(現在でもこれらの分野は研究費を得るのが難しいですが).


今日付けのNature(世界最高峰の科学雑誌の1つ)にも大きな記事が出ていましたが,このままでは日本の研究者は基礎研究にお金を使ってくれるアメリカなどに出ていくしかなくなるのではと思ってしまいます.







Bermudaに来てから,日本ブランドというものを非常に痛感します.


極東のちっぽけな島国に過ぎない日本の科学技術や商品は,海外ですごく評価されていて,それらは外国人に有名な京都でも足元に及ばないくらい有名です.


地球の裏側のBermudaでも,日本製の車やカメラがよく売れており,授業の中でも日本での研究がよく紹介されます.





今現在の金融危機も当然大事ですが,国という大きなものを動かす以上,これから先10年,20年後に資源もない日本が何で食っていくのかというビジョンをはっきりと示し,舵をきっていただきたいと思います.

2 件のコメント:

たま子 さんのコメント...

日本では、事業仕分けの2回目が始まりました。昨日、ノーベル賞やフィールズ賞を受賞された先生方が異議を唱える会見をされました。新聞のタイトルは「日本の頭脳 抗議の結集」・・・なるほど。。。
小林誠氏、利根川進氏、江崎玲於奈氏などなど・・・有能な研究者が潤沢な研究費のある海外へ出てしまうと強く懸念。
鈴木君が言う「分ける尺度としては様々あるとは思いますが・・・知識という即座にお金に化けるわけではない科学や教育にはあまり向かないのでは・・・」やねぇ。
事業仕分け自体はやったらいいと思うけど、この分野は非常にデリケート。あと、JICAの費用なんかも削られるみたいだけど、イエメンで誘拐された技術者のような方がいるってどれだけの人が知っているか・・・。たくさんお金もらっても行けるもんちゃうよ。とりあえず、素人でも分かるのは、箱もんは無駄って言うことだけ!

Kentaro さんのコメント...

今まさに,ネットに落ちていたその会見を見ていたところでした.

その中で色々興味深いことが語られていましたが,利根川博士がおっしゃっていた,「科学の重要性を世論に理解してもらうには,科学者が伝えていくことはもちろんだけれど,マスコミの科学部等に確かな知識を持った人を雇い,確かなことを伝えていくことが不可欠であり,日本はその点でアメリカに完全に後れをとっている」(かなりはしょっていますが)には,非常に共感を覚えました.
日本人がノーベル賞をとった際の報道でも,幼少時はどうだったとかいった話ばかりで,どういった研究で受賞したのか?,その研究のどういった点が世界的に評価されたのか?,その研究結果はその分野にどのような影響を与え,これからどういう方向に進んでいく可能性があるのか?などを正確に分かりやすく伝えているものはほとんど目にしません.
そういった状況では,科学にお金を使うなんて贅沢だと言われてしまうのも無理ないことかもしれません.

今回の事業仕分けは日本の学術界にとって大きな痛手になろうとしていますが,普段は一般社会とあまり接点のない科学者の意見が世間に伝えられたという意味では,有益であるかもしれません.

とりあえず今後の動向を見守りたいと思います.

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